本文へスキップ
Plotoria
創作整理ノートへ戻る

体裁は機械が、良し悪しは作者が|文章チェックを作品ルール対応にし、観点を選ぶ校正レビューを足した

表記ゆれや字下げの不統一は、長編を書けば必ず出ます。でも「文章の良し悪し」を機械に採点させたくはない。2026年8月、Plotoriaに作品ごとの文章ルール(非AI)と、6つの観点から作者が選んだときだけ動く各話AI校正レビューを追加しました。AIを本文にどこまで近づけて、どこで止めるか。その線引きの話を書きます。

体裁は機械が、良し悪しは作者が|文章チェックを作品ルール対応にし、観点を選ぶ校正レビューを足したのアイキャッチ画像

長編を書いていると、体裁のゆれが溜まります。

三点リーダを1個で打つのか2個重ねるのか、途中で混ざる。固有名詞の漢字表記を決めたはずが、序盤ではひらがなで書いている。会話文の後の地の文を字下げするかどうかが、話によって違う。

こういう機械的なゆれは、探せば見つかります。ただ、それを直すために全話を読み返すのは大変だし、かといって「文章の良し悪し」まで機械に採点されるのは、書き手としては受け入れがたい。

2026年8月、Plotoriaにこの領域の機能を2つ足しました。ひとつは作品ごとの文章ルールに沿った非AIの確認、もうひとつは作者が観点を選んだときだけ動くAI校正レビューです。AIとの距離が、この2つでははっきり違います。

作品ごとに、体裁のルールを決めておける

もともと各話の編集画面には、本文から機械的に体裁を確認する「文章チェック」がありました。括弧の対応、記号の数、同じ文末の連続、長い一文——AIを使わず、本文を外部にも送らず、その場で計算するものです。

ここに「作品の文章ルール」を足しました。作品ごとに、次を決められます。

  • 地の文の字下げ(字下げあり/なし/自動判定)
  • 三点リーダ(…)を「1個」で使うか「2個単位」で使うか
  • ダッシュ(—・―)を「1個」で使うか「2個単位」で使うか
  • 感嘆符・疑問符の全角/半角
  • 推奨表記の辞書(最大30件。「魔導石」を正として、本文に残る「魔力石」を見つけたい、など)

ルールには3つのモードがあります。「自動判定」は従来どおり、1つの話の中で書き方が混ざっているときだけ少数派を表示します。明示ルールを選ぶと、本文が一貫していても作者の規則と違う箇所を表示します。「行わない」を選べばその検査は出ません。推奨表記は大文字・小文字や全角・半角を変換しない完全一致で、長い語を先に消費してから短い別表記を探すので、「魔導石」の中の「魔導」を誤検出しません。

出すのは「作者が決めた形と違う箇所」だけです。文章の良し悪し、誤字脱字、想定読者への適合は判定しませんし、本文を自動で書き換えることもありません。自動置換も一括修正も付けていません。

各話編集画面から開いた「作品の文章ルール」ダイアログ。地の文の字下げ・!・?の幅・三点リーダ・ダッシュを「自動(混在時だけ)」などから選ぶプルダウンと、推奨表記の登録欄がある

校正は、作者が観点を選んだときだけ動く

もうひとつが、各話の編集画面から呼べる「AIで本文を校正レビュー」です。こちらはAIを使います。だからこそ、動く条件を絞りました。

作者が6つの観点から1つを選んで、明示的に実行したときだけ動きます。

  • 誤字脱字を確認(誤変換、助詞・活用、係り受けや主語の曖昧さ)
  • 表記ゆれを確認(同じ対象の表記の揺れ。ここでは登録した文章ルールも基準に使う)
  • 重複や冗長さを確認
  • 視点と語り口を確認
  • 会話と口調を確認
  • 読みやすさを総合確認

実行すると、保存前の編集中も含めた本文全文をAIへ送ります。ここは通常のAI相談とは違う扱いです。普段のAI相談は作者が書いた本文を校正・添削しませんが、校正レビューは作者が「この観点で見てほしい」と明示したときに限って、本文に踏み込みます。

送信は意味の境界(段落、改行、文末の順)で分割して、順番に送ります。送信対象の文字数(改行・空白を含む)5,000文字ごとに、通常のAI相談と共用の利用枠を1回分使います。校正レビューを実行すると、そのぶん通常相談やAI要約の残り回数も減ります。実行前のダイアログに、送信対象の文字数、必要な回数、残りの回数、本文を自動変更しないことが表示されます。送信対象の上限は50,000文字で、これは各話本文の保存上限(60,000文字)とは別に設けています。無料の相談枠(1日10回)だけでも、未使用の状態から一度は全文を通せる分量です。

会話と口調・読みやすさのレビューでは、本文に名前が出てくる登場人物(最大8人)の「口調・話し方」「性格」「行動のクセ・判断軸」も、各240字まで補足として送ります。ただし設定との差を誤りとは断定しません。表記ゆれのレビューでは、登録した文章ルールを本文と同じ扱い(<work_data> 内の補足資料)で送ります。

「AIで本文を校正レビュー」ダイアログ。誤字脱字・表記ゆれ・重複や冗長さ・視点と語り口・会話と口調・読みやすさの6つの観点をカードで選び、回答の出し方を「指摘のみ」「修正候補あり」から選ぶ。下部に「投稿先のAI利用区分は…Plotoriaは区分を自動判定しません」と明記されている

直すのは、いつも作者

校正レビューの結果は、指摘ごとの番号付きカードとして、その話のAI相談履歴に1往復ぶんとして表示されます。

回答の出し方は「指摘のみ」が既定です。該当行・理由・作者の確認点だけを返し、完成した置き換え文は返しません。「修正候補あり」を作者が明示的に選んだときだけ、短い語句・一文の修正候補を返します。章や話を丸ごと書き直す提案は、どちらのモードでも出ません。

各カードには「採用」「不採用」のボタンがあり、作者が自分で記録できます(初期状態は「未判断」で、選んだボタンをもう一度押すと未判断へ戻せます)。この記録は履歴の中に残るだけで、本文への自動反映はありません。本文へ適用するボタンも、専用の結果テーブルも作っていません。履歴を削除すれば、その判断も一緒に消えます。

AIが返した引用と行番号は、そのまま信用せず、同じ語句が本文に実在するかをアプリ側で照合してから表示します。見つからない引用や、モデル自身が「問題ない」と否定した候補は、表示前に除外します。投稿予定先のAI利用区分については、小説家になろうの公式ガイドへ案内するだけで、「この使い方はこの区分にあたる」という断定はしていません。手動で採用しても、提案の内容と使い方によって区分は変わるからです。

Plotoriaの今日の開発

2026年8月の開発では、文章まわりの機能を2つ追加しました。

作品ごとの文章ルール(字下げ・三点リーダ・ダッシュ・感嘆符/疑問符・推奨表記辞書)を非AIの文章チェックに反映できるようにしたのが1つ。もう1つが、6観点から作者が選んで実行する各話AI校正レビューで、本文は変えず、各指摘の採用・不採用は作者が履歴の中で手動記録します。

デモ作品では、文章ルールの設定は閲覧のみで、AI校正レビューは実行できませんが、文章チェックの見え方は確かめられます。

AIとの付き合い方の全体像はAIを「壁打ち相手」として使う話に、送信範囲や証跡の扱いはAI利用についてにまとめています。投稿サイトごとのAI規約の話は「規約に適合している」とは言わないにも書きました。


作品を整理して、また書き始める